この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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今日見たネット記事の中で、民事上の賠償責任事件の裁判事案が
参考になったもので、 以下取り上げたい。
●散髪中に耳を切った美容室に「220万円の賠償命令」の判決
(2014年11月8日(土)11時0分配信 日刊大衆)
事故の顛末、及び東京地裁での判決の概要は上記記事を読んで
いただくとして、記事の結びでは、原告がファッション業界で働く
男性が原告だった故、<特別扱いで>賠償命令が出たように取れるが、
自分の耳を切られたら誰だって精神的ダメージを受けるのは同じは
ずではないか?・・・・と疑問符を投げかけた形で〆ている。
しかし、記事の全体を読む限り、日頃社会の多方面を見ているだろう
記者ゆえ、「損害賠償」の流れをあまり分かっていなくて書いている
ことが見てとれる。
「完全に店側に非がある事件ではあるが、裁判官の言い方が少しだけ
気になるところ。」(上記記事) と書いているのだが、少しく民事上
の損害賠償の積算の仕方を知っているならば、裁判所の判断は少しも
狂ってはいず、ほぼ、損害賠償算定の基準通りの判決が下されたものと
思う。
以下その見込みを書いてみる。
①「散髪中に耳を切った美容室への賠償命令」算定の基準は、まず、
『労災補償 傷害認定必携』(厚生労働省労働基準局監修)が元になる。
『右耳の一部を長さ約1.5センチ、幅約6ミリ切り落とされた』当該
事故は、事故後の受話器を耳に当てたり、右耳を下にして寝ると痛むなど
自覚症状としての<後遺症が残った>、と言うより何より、『右耳の一部
が切り落とされた』事故そのものが、「後遺障害認定」に当たるのである。
この認定基準の「第6節 頭部、顔面部、頸部」中の(1)外ぼうの醜状
傷害の中の「ト耳介及び鼻の欠損傷害」(イ)耳介軟骨部の1/2以上
を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部を欠損した場合は、
単なる「醜状」とする。・・・・・よって、本件の事案は「醜状」だ。
②さて、本事件のファッション業界で働く男性は、不幸にしてとんだ
災難に出会ってしまったのだが、今後も働いて行く上では、右耳の一部
に欠損を生じたとはいえ、働く上では傷害を負ったとまでは言えない。
つまり、後遺症による労働能力喪失までしたとは言えないから、この点
での逸失利益は生じておらず、後遺障害による慰謝料賠償請求に留まる。
③平成25年に発生の事案のため、また事故が交通事故によるものでは
ないのであるが、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称:
赤い本)が、裁判所等でも民事上の損害賠償額算定の基準として大概使用
されているため(多分、本事件でも使われたと思われる)これの平成25
年版を参照すると、「後遺障害等級表」第12級14<外貌に醜状を残す
もの>として認定し、<頭髪で隠れる部分でなく、ファッション業界で働く
男性にとって精神的な苦痛を覚えさせる」と付言した。(等級表 平成22
年6月10日以降発生した事故に適用する表)
この平成22年6月10日以降の事故は、「醜状」に男女の差はないとし
て改正されたもので,それ以前(平成18年4月1日以降平成22年6月9
日までに発生した事故に適用する表)では、第12級14<男子の外貌に
著しい醜状を残すもの> 第12級15<女子の外貌に醜状を残すもの>
と第14級10で<男子の外貌に醜状を残すもの>と、男女で明らかな区
別があった。
今回の判決では、通常の男子よりは、ファッション業界で働いている男性
であるから、職業柄、より女子に近い「容貌重視」を考慮して第12級を
選択したという付言があるのは、旧基準の場合なら判るが、新基準では
男女同一基準という整合性に照らしては不明な点も残る。
一般”筋肉派”男子は、旧等級なら第14級には該当のはずが、新等級では
"等級外”になってしまうのか?あるいは、男女は同一基準のはずであるから、
付言の方が的外れな蛇足であったのか?
■(イ)耳介軟骨部の1/2以上を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、
その一部を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。
(厚生労働省労働基準局監修『労災補償 傷害認定必携』より)
■後遺障害別等級表・労働能力喪失率:
第12級14外貌に醜状を残すもの 224万円 14/100
(平成22年6月10日以降に発生した事故に適用する表 から・・・・
『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』日弁連交通事故相談センター
東京支部発行 より)
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参考になったもので、 以下取り上げたい。
●散髪中に耳を切った美容室に「220万円の賠償命令」の判決
(2014年11月8日(土)11時0分配信 日刊大衆)
事故の顛末、及び東京地裁での判決の概要は上記記事を読んで
いただくとして、記事の結びでは、原告がファッション業界で働く
男性が原告だった故、<特別扱いで>賠償命令が出たように取れるが、
自分の耳を切られたら誰だって精神的ダメージを受けるのは同じは
ずではないか?・・・・と疑問符を投げかけた形で〆ている。
しかし、記事の全体を読む限り、日頃社会の多方面を見ているだろう
記者ゆえ、「損害賠償」の流れをあまり分かっていなくて書いている
ことが見てとれる。
「完全に店側に非がある事件ではあるが、裁判官の言い方が少しだけ
気になるところ。」(上記記事) と書いているのだが、少しく民事上
の損害賠償の積算の仕方を知っているならば、裁判所の判断は少しも
狂ってはいず、ほぼ、損害賠償算定の基準通りの判決が下されたものと
思う。
以下その見込みを書いてみる。
①「散髪中に耳を切った美容室への賠償命令」算定の基準は、まず、
『労災補償 傷害認定必携』(厚生労働省労働基準局監修)が元になる。
『右耳の一部を長さ約1.5センチ、幅約6ミリ切り落とされた』当該
事故は、事故後の受話器を耳に当てたり、右耳を下にして寝ると痛むなど
自覚症状としての<後遺症が残った>、と言うより何より、『右耳の一部
が切り落とされた』事故そのものが、「後遺障害認定」に当たるのである。
この認定基準の「第6節 頭部、顔面部、頸部」中の(1)外ぼうの醜状
傷害の中の「ト耳介及び鼻の欠損傷害」(イ)耳介軟骨部の1/2以上
を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部を欠損した場合は、
単なる「醜状」とする。・・・・・よって、本件の事案は「醜状」だ。
②さて、本事件のファッション業界で働く男性は、不幸にしてとんだ
災難に出会ってしまったのだが、今後も働いて行く上では、右耳の一部
に欠損を生じたとはいえ、働く上では傷害を負ったとまでは言えない。
つまり、後遺症による労働能力喪失までしたとは言えないから、この点
での逸失利益は生じておらず、後遺障害による慰謝料賠償請求に留まる。
③平成25年に発生の事案のため、また事故が交通事故によるものでは
ないのであるが、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称:
赤い本)が、裁判所等でも民事上の損害賠償額算定の基準として大概使用
されているため(多分、本事件でも使われたと思われる)これの平成25
年版を参照すると、「後遺障害等級表」第12級14<外貌に醜状を残す
もの>として認定し、<頭髪で隠れる部分でなく、ファッション業界で働く
男性にとって精神的な苦痛を覚えさせる」と付言した。(等級表 平成22
年6月10日以降発生した事故に適用する表)
この平成22年6月10日以降の事故は、「醜状」に男女の差はないとし
て改正されたもので,それ以前(平成18年4月1日以降平成22年6月9
日までに発生した事故に適用する表)では、第12級14<男子の外貌に
著しい醜状を残すもの> 第12級15<女子の外貌に醜状を残すもの>
と第14級10で<男子の外貌に醜状を残すもの>と、男女で明らかな区
別があった。
今回の判決では、通常の男子よりは、ファッション業界で働いている男性
であるから、職業柄、より女子に近い「容貌重視」を考慮して第12級を
選択したという付言があるのは、旧基準の場合なら判るが、新基準では
男女同一基準という整合性に照らしては不明な点も残る。
一般”筋肉派”男子は、旧等級なら第14級には該当のはずが、新等級では
"等級外”になってしまうのか?あるいは、男女は同一基準のはずであるから、
付言の方が的外れな蛇足であったのか?
■(イ)耳介軟骨部の1/2以上を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、
その一部を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。
(厚生労働省労働基準局監修『労災補償 傷害認定必携』より)
■後遺障害別等級表・労働能力喪失率:
第12級14外貌に醜状を残すもの 224万円 14/100
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性別:
男性
職業:
行政書士
趣味:
山歩き、自然散策、ドライブ
自己紹介:
ISO14001環境マネジメントシステム審査員補
日本自然保護協会・自然観察指導員
浄化槽管理士
日本森林学会会員
福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
茨城県動物愛護推進員
上記もろもろ、兼 おっさん。
日本自然保護協会・自然観察指導員
浄化槽管理士
日本森林学会会員
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上記もろもろ、兼 おっさん。
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