この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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昨夜寝る前に読んだ小説の後味の悪さを、明けた今日になっても、
今だにひきづっている。
あらためて、名を成した小説家のその力量の深さに感服だ。
その小説は、藤沢周平の短編『亭主の仲間』と言った。
実は先日8日の読売新聞に掲載のあった、夕刊コラム『よみうり
寸評』(2/7夕刊)欄で紹介されていたもので、藤沢は好きな
作家ではあるのだが、この小説は未読だった。
調べてみると、新潮文庫『時雨みち』に収録の短編。
8日の夜に本箱を覗いてみると、手要らずにちょうどこの本があっ
た。
その後、4日も仕事場と自宅の往復に携行はしたのだが、なかなか
読みそびれ、やっと昨夜になって読んだ。
拙ブログに目を通していただいているこの小説未読の方には、チン
プンカンプンで、この項が面白くも何ともなくなってしまうだろうから、
以下に、ネットから引いたこの小説のあらすじをリンクしておきましょう。
●ブログ記事『FC2 藤沢周平・全作品を読む』から <亭主の仲間>
さて、読売新聞2/7夕刊『よみうり寸評』欄は、その日の欄のあらかた
を藤沢周平の短編『亭主の仲間』のあらすじの紹介にあて、つましく暮らす
夫婦のもとに、突然降って湧いたような恐怖が、これまた突然に朝鮮半島に
沸き起こった融和ムードの平昌五輪騒動をダブらせ、危惧するコラムだった。
まあ、昨夜読んでみた藤沢の『亭主の仲間』は、初めは好青年の印象の若者
が、たった2回目の来訪時には「カネを貸して・・・」。
それが、その後は「(家に)寄ってけ・・・。」とも言っていないのに、我が
家へ帰る亭主の後をニヤニヤしながら付いて来るって。
上がり框に立っていて、帰る素振りがなく、また「カネ貸して・・・。」だ。
別に言葉を発するでもなく、ニヤニヤだけはしていて、しかも、こちらがカネを
出さないと帰らない・・・・。
安之助というこの男、薄気味悪いやつで、読んでいて胸くそ悪くなり途中で読む
のをやめようかと何度か思ったほどだったのだが、それぞれの人物造形が優れて
いて、あらためて、藤沢周平の凄さが判る。
上記のリンクのあらすじでは、小説世界の微妙なヒダまでは再現されていないか
ら、この男の恐怖は伝わって来ない。
リンク記事の欄外末尾の評価文が、かろうじてこの短編の「怖さ」を伝えている
ので、そのまま、写してみよう。
『本作品はこの後の顛末について、何も触れません。これで終わるのです。恐怖
の物語の、エンターティメントとしての効果の一つは、読者の中に<恐怖>が持
続されることでしょう。展開の結末を示すことをせずぷつんと物語を閉じてしま
うのは、その効果をもたらすための、小説づくりのテクニックの一つなのであり
ましょう。』(ブログ『藤沢周平・全作品を読む』<亭主の仲間>より)
この小説について、新潮文庫『時雨みち』の解説ページで、文芸評論家・岡庭昇
氏はこう綴る。
『解決のない提示という本質において、これはもっとも藤沢らしい場面であるとも
いえる。「亭主の仲間」の夫婦は、物語ののちあるいは惨殺されることになるか
もしれない。凶悪な男の足音は続いている。危険は去らず、問題は解決しない。し
ないまま、物語展開は終り、二人は実存の闇のなかに投げ出されてしまう。(略)』
(新潮文庫『時雨みち』解説 岡庭昇 より)
夫は『あんな男を家に連れてきたのが、そもそも間違いだったよ。』そう述懐する
のだが、ぷっつりと安之助の影が消えたと思ったひと月ほど経った深夜、また、
外の戸を叩く音が・・・・・・・・。
柔和に見えた相貌の裏の、狂気もしくは病的とも思える執着の行ないが恐怖だ・・・。
読売新聞夕刊コラム担当の、北朝鮮による平昌五輪南北合同での盛り上げという美名
での突然の擦り寄りを、藤沢周平の短編『亭主の仲間』中の安之助に重ね合わせた
隠喩には、つくづく唸る。
●金与正氏ら北朝鮮巷間級代表団、訪韓を終える
(2018年02月12日03時42分 TBS)
●五輪で北の核「解決せず」83%・・・読売世論調査
(2018年02月12日06時00分 読売新聞)
●人気ブログランキング へ
よろしくお願い致します。
今だにひきづっている。
あらためて、名を成した小説家のその力量の深さに感服だ。
その小説は、藤沢周平の短編『亭主の仲間』と言った。
実は先日8日の読売新聞に掲載のあった、夕刊コラム『よみうり
寸評』(2/7夕刊)欄で紹介されていたもので、藤沢は好きな
作家ではあるのだが、この小説は未読だった。
調べてみると、新潮文庫『時雨みち』に収録の短編。
8日の夜に本箱を覗いてみると、手要らずにちょうどこの本があっ
た。
その後、4日も仕事場と自宅の往復に携行はしたのだが、なかなか
読みそびれ、やっと昨夜になって読んだ。
拙ブログに目を通していただいているこの小説未読の方には、チン
プンカンプンで、この項が面白くも何ともなくなってしまうだろうから、
以下に、ネットから引いたこの小説のあらすじをリンクしておきましょう。
●ブログ記事『FC2 藤沢周平・全作品を読む』から <亭主の仲間>
さて、読売新聞2/7夕刊『よみうり寸評』欄は、その日の欄のあらかた
を藤沢周平の短編『亭主の仲間』のあらすじの紹介にあて、つましく暮らす
夫婦のもとに、突然降って湧いたような恐怖が、これまた突然に朝鮮半島に
沸き起こった融和ムードの平昌五輪騒動をダブらせ、危惧するコラムだった。
まあ、昨夜読んでみた藤沢の『亭主の仲間』は、初めは好青年の印象の若者
が、たった2回目の来訪時には「カネを貸して・・・」。
それが、その後は「(家に)寄ってけ・・・。」とも言っていないのに、我が
家へ帰る亭主の後をニヤニヤしながら付いて来るって。
上がり框に立っていて、帰る素振りがなく、また「カネ貸して・・・。」だ。
別に言葉を発するでもなく、ニヤニヤだけはしていて、しかも、こちらがカネを
出さないと帰らない・・・・。
安之助というこの男、薄気味悪いやつで、読んでいて胸くそ悪くなり途中で読む
のをやめようかと何度か思ったほどだったのだが、それぞれの人物造形が優れて
いて、あらためて、藤沢周平の凄さが判る。
上記のリンクのあらすじでは、小説世界の微妙なヒダまでは再現されていないか
ら、この男の恐怖は伝わって来ない。
リンク記事の欄外末尾の評価文が、かろうじてこの短編の「怖さ」を伝えている
ので、そのまま、写してみよう。
『本作品はこの後の顛末について、何も触れません。これで終わるのです。恐怖
の物語の、エンターティメントとしての効果の一つは、読者の中に<恐怖>が持
続されることでしょう。展開の結末を示すことをせずぷつんと物語を閉じてしま
うのは、その効果をもたらすための、小説づくりのテクニックの一つなのであり
ましょう。』(ブログ『藤沢周平・全作品を読む』<亭主の仲間>より)
この小説について、新潮文庫『時雨みち』の解説ページで、文芸評論家・岡庭昇
氏はこう綴る。
『解決のない提示という本質において、これはもっとも藤沢らしい場面であるとも
いえる。「亭主の仲間」の夫婦は、物語ののちあるいは惨殺されることになるか
もしれない。凶悪な男の足音は続いている。危険は去らず、問題は解決しない。し
ないまま、物語展開は終り、二人は実存の闇のなかに投げ出されてしまう。(略)』
(新潮文庫『時雨みち』解説 岡庭昇 より)
夫は『あんな男を家に連れてきたのが、そもそも間違いだったよ。』そう述懐する
のだが、ぷっつりと安之助の影が消えたと思ったひと月ほど経った深夜、また、
外の戸を叩く音が・・・・・・・・。
柔和に見えた相貌の裏の、狂気もしくは病的とも思える執着の行ないが恐怖だ・・・。
読売新聞夕刊コラム担当の、北朝鮮による平昌五輪南北合同での盛り上げという美名
での突然の擦り寄りを、藤沢周平の短編『亭主の仲間』中の安之助に重ね合わせた
隠喩には、つくづく唸る。
●金与正氏ら北朝鮮巷間級代表団、訪韓を終える
(2018年02月12日03時42分 TBS)
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HN:
5596DA(ゴーゴークロダの意)
性別:
男性
職業:
行政書士
趣味:
山歩き、自然散策、ドライブ
自己紹介:
ISO14001環境マネジメントシステム審査員補
日本自然保護協会・自然観察指導員
浄化槽管理士
日本森林学会会員
福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
茨城県動物愛護推進員
上記もろもろ、兼 おっさん。
日本自然保護協会・自然観察指導員
浄化槽管理士
日本森林学会会員
福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
茨城県動物愛護推進員
上記もろもろ、兼 おっさん。
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