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 この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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今日は一日雨混じりの、鬱陶しい天気に終始した日だった。


だもので、そんな話を書く日になった。



先週の土曜日の昼前、何気に居間に入ったら、かかっていたテ
レビでドキュメント番組の小編が。


途中からだから、何のことだかは不案内ではあったのだが、映
っている若い女性は女子大生らしかった。
年齢は21歳とか言っていたな。


手元の本を繰りながら、高校生の時分にはシックリ来て、何度も
何度も読み返したのだが、著者と同年代になった筈なのに、却っ
て今はシックリと来ない、とか語っていた・・・・。

画面をよく見ると、当方が学生の頃に読んだ高野悦子著『二十歳
の原点』ではないの!
(NHKテレビ 2017年2月25日(土)11時30分~
『目撃!日本列島』<若者に読み継がれる本二十歳の原点京都>)

いやはや、この事実には驚きましたな。


当方が持っていたのは単行本だったが、テレビの彼女の手には文
庫本。しかし、表紙は昔のままのデザイン、そのままだ。

何に驚いたのかと言えば、今から50年近く前に自殺した女子学生
の日記が、いまだに読み継がれていたということ。



今ではスッカリ<汚れちまった>当方だが、昔には純な時代だって
あったのヨ。
この番組でそんな自分の昔が彷彿と蘇ったものだ。

上に書いた『二十歳の原点』をはじめ、学生運動、とりわけ最前線
であった左翼革命闘争に青春を散らした、奥浩平の手記『青春の
墓標』だの、若者には珍しい短歌に命を賭けた岸上大作の手記『意
志表示』など、こういう若くして命を絶った人達の本を、深夜の下
宿で読み耽った時代があったのだ。
その他に類書もあったと思うが、今では忘れて思い出せない。


今日の項を書くにあたり、上の著者をネットで当たったのだが、当時
は自分と同時代人と勘違いしていたフシがあり、岸上大作は昭和14年
生まれ。奥浩平は昭和18年生まれ。高野悦子が昭和24年だから比較
的近く、当時の記憶では群馬県生まれと思っていたら、栃木県の西那須
野。二十歳の立命館大生が、茨城県の近燐生まれというのもあってか、
表紙に写る笑顔が切なかった記憶がある。


こちらは、生来のノー天気ゆえに、「死」を考えたことというのは、滅多
なかったのだが、若さゆえに「死ぬこと」とはどういう感じなのか?何か
を模索した時代ではあったのだろうな。
何の手記だったかは忘れたが、酒と一緒に大量のクスリを飲んで、絶命前
まで、ヒタスラその経過を書き残していた・・・そういう本もあったな。




さてさて、図らずもそんな自分の来歴を披瀝したところで、最近そんな
自分に、久々ショッキングな出会いが再来した。
ことは、以下のテレビ番組にぶち当たったことから・・・・。

●もっとNHドキュメンタリー NEXT 未来のために
「響き合う歌~歌人・鳥居と若者たち」
(2017年2月4日(土)午後5時30分~)



いやはや、想像を絶する生い立ちに度肝を抜かれた。

本名を伏せ、年齢不詳、天涯孤独。
短歌を生きるヨスガに生き抜いて、歌人・鳥居という名で人生初の歌集
『キリンの子ー鳥居歌集』を出版。合わせてまったくの同時期に、東京新聞
記者・岩岡千景氏筆による『セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚
えたホームレス少女の物語』も出版。

上にリンクしたNHKのページにご本人の写真が写るが、セーラー服姿だ。
本の帯に「母の自殺、小学校中退、施設での虐待、ホームレス生活ーーー
今も複雑性PTSDの病と共に生きる女性歌人の感動的な半生。」とあるが、
小5で小学校を中退、中学校へも一度も通わずに「形式卒業者」になってい
る。通えなかった学校への憧れ、社会に存在するそういう子供達への支援の
意味もあって、今、セーラー服姿で社会と接しているのだという。


■鳥居著『キリンの子 鳥居歌集』KADOKAWA 2016年2月
■岩岡千景著『セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス
       少女の物語』KADOKAWA 2016年2月初版

鳥居歌集の解説7ページを歌人吉川宏志が書いていて、氏が選んでいる歌が
一番ストンと胸に落ちた。
氏は、鳥居がホームレス中にネットカフェから最初に手紙を書いて、返事を
貰って勇気づけられた歌人だ。
読んだ吉川の歌集も、図書館で借りたそんな本だったという。

フーテンのような少女からの手紙に<型通りの返事>を書いただけ、のハズが
その後の交流のきっかけになったのだとか。

そんな関係だから、鳥居の短歌の初期から今まで具に見ていて、解説中に載せた
短歌も的を射ているように思えた。

  冷房をいちばん強くかけ母の体はすでに死体へ移る
  灰色の死体の母の枕にはまだ鮮やかな血の跡がある
  透明なシートは母の顔覆い涙の粒をぼとぼと弾く


一番痛ましい瞬間の歌だが、この時の鳥居の年齢はわずかに小5だった。
残されてアパートに独りぼっちになったのだった。


解説を書く歌人の吉川は、鳥居の幼かった幸せな時代を綴った歌も合わせて拾って
いる。
  目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ
  サインペンきゅっと鳴らして母さんが私のなまえを書き込む四月
  お月さますこし食べたという母と三日月の夜の坂みちのぼる


(上記に引用した短歌はKADOKAWA発行の『キリンの子 鳥居歌集』より)

この本の末尾に、鳥居の「あとがきにかえて」が載せられているのだが、第3回
路上文学賞大賞受賞作品ということで、彼女の経験に基づく創作作品とのこと。
短文ながらその非凡さが滴る世界があると思う。


吉川の歌会の会員にもなった鳥居なのだが、そこに通う交通費や会当日の費用、
年会費の遣り繰りで、現在は休会の身とは岩岡氏の著書にあった。


今日はつい、長くなってしまったが、世の中には凄絶な人生が現実にあることを
思い知ったのは、大変貴重なことだった。

出来れば、多くの皆様に鳥居の世界を覗いて欲しいと切に願いますね。





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よろしくお願い致します。

鳥居の本1冊を、かいつまんで紹介している雨宮処凛さんのブログが鳥居を知る
上で判り易いと思いますので、リンクしておきましょう。

●セーラー服の歌人・鳥居    雨宮処凛 作家・活動家
(投稿・更新日:2016年02月18日 18時39分 JST)


雨宮さんの新書の著書を買った記憶があるのだが、何処に置いてあったか。

いずれにしても、鳥居さんの本2冊が出版された直後のブログで、如何に
気を入れて書いたかが判ります。







                  



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日本森林学会会員
福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
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上記もろもろ、兼 おっさん。
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