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 この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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今日のような、終日ドンヨリとした曇りの日には、ふと、内省的に
もなる。

午後一番、郵便配達があって新潮新書の『山本周五郎のことば』(清
原康正著)というのが届いた。



この10月から、衛星7チャンネルで<BSジャパン開局15周年特
別企画>というワクで、短編時代小説から選んだ12編のドラマが放
送されていて、その初回と第2回目が山本周五郎原作の作品だった。

社会の底辺で生き延びる人間たちの、変哲もないエピソードがこじん
まりと、あるいは切なく描かれていた。ドラマ作品としては登場人物
も少ない小品であるのだったが、何か余韻が残り、心惹かれた。


山本周五郎の小説など読んだこともなかったのだが、調べれば、その
膨大な作品数には圧倒された。小説をコツコツと片っ端から読破する
ほどにヒマな暮らしでもないもので、取り敢えずは、中短編の作品を
覗いてみることにした。

で、作品のアタリをつけるのに、(もう借り出してから1週間が経って
しまっているのだが)■竹添敦子監修『山本周五郎中短篇秀作選集①』
(小学館)と■『【歴史読本】編 山本周五郎を読む』(新人物往来社)
を借り出してきた。

まあ、そのような塩梅で、冒頭のような『山本周五郎のことば』という
本も届いたということなのだ。



さてその42ページに、先日のテレビドラマで心惹かれた短篇が出て来た。
【夜の辛夷(こぶし)】そうそう、そうだった・・・。

その時の主人公・女郎のお滝のセリフが書いてある。
ちょっと長いが、写してみよう。

「あたしは自分の子を育てるためならなんでもする、紅白粉で皺も隠すし、
必要があれば年もごまかす、あたしが騙すんじゃなく、客のほうで騙されに
来るんだ、ひと夜のなさけだった、なさけのうちさ、二十四というより十七
というほうがよければ、十七のような気持になって楽しませる、誰のものを
くすねるんでもない、自分の躯を売ってるんだ、自分の躯をだよ」
(山本周五郎『夜の辛夷』ーー清原安正「山本周五郎のことば」新潮新書から)

作品のナマの文章を引いたのだが、実際のところは、ここを読んだだけでは、何
のことか、皆目解からないはずだ。


そんなイイ女でもないお滝のところへ、ひょんなコトから、元大工だったという
ヤクザ風に崩した格好の男が通うことになる。
そして、どういう訳か、部屋の小窓から通りを見るのが毎回だ。
で、女郎屋への目的と言ったらひとつのはずが、いつも、一人寝を決め込み背中
を向ける。

怪しげな行灯の光と艶めかしい紅白粉の匂う部屋で、頑なを極め込む男の潔さに
もつい惹かれる・・・。


じゃあ、何の為に<通うのか?>、一見の頃には窓の下に見知らぬ花が咲いていた。
男はお滝に訊ねる。
そして・・・、男はその花が【辛夷(こぶし)】と知る。


このドラマを観た時、藤沢周平が過った。
この心理描写の機微が、似ているのだ。

ひと頃は、藤沢周平に惹かれ結構ハマったことがあった。
藤沢周平原作と知れば、テレビドラマであれ、映画であれチェックもした。

今日の本の中で、著者の清原安正氏が山本の言葉を紹介している。
『恵まれない人たちの、生きてゆく哀しさと、そういう生活のなかにさえある
真実をさぐりだしてみたかった』(山本周五郎)

<生きてゆく哀しさとその中にある真実ーー周五郎文学の魅力>と清原氏は書く。

新書の表紙奥付のコピーも『「女があり、男がある、かなしいもんだな」--
ごく普通の人たちの生きる苦しみや哀しみや、ささやかだが深い喜びを描きだした
山本周五郎の小説。』と、痺れるような書きぶりだ。


さてさて今日書きたかったこと。

今日着いた本に挟み込まれていたレシート。
最初はウワッと思って、クシャクシャにしてゴミ箱に投げ入れた。

ところが今度は裏表紙の手前に、小さな新聞記事の切り抜きが入っていた。
角もキリリとして、三つ折りに丁寧に畳まれていた。

拡げてみると、新聞上段の枠外も付いており「2003年(平成15年)8月26
日(火曜日)」とあった。
12年前の新聞だ。
で、記事はと言うと、「言いたい放談」というコラム欄で、その日は放送作家の石
井彰氏の随想だった。
タイトルが<『蝉しぐれ』と亡父>とある。

この本の付録のように、この随想を読んだ。
藤沢作品をむさぼるように読んできた石井氏は『ある年代にならないと、藤沢作品
の持つ魅力には気がつかないのかもしれない。』と書いているのだが、この年に
82歳で実父を亡くし、故郷の長野へ向かう車中でも藤沢作品を読み返したとも
書いている。最後には時代小説とテレビ時代劇の好きだった父に、「蝉しぐれ」の
NHKドラマを見せてやりたかったーーと結ぶ。


長々書いてしまったが、藤沢作品好きの放送作家の新聞随想を切り抜き、『山本
周五郎のことば』という本に丁寧に挟んでいた本の前の所有者を、しんみりと思っ
たのだ。

ああ、好きな人は考えることが一緒だな。

さっきゴミ箱に捨てたレシートを拾い、拡げてみると、「2003年8月18日」
の日付で、東京・八重洲地下街にある古本屋のものと読めた。

なるほど・・・。

本の方が日付が古いから、山本周五郎の古本を買って読み懸けの頃、手元の新聞に
藤沢周平を語る随想が載って、それを切り抜き、ヨミサシの周五郎の本に挟み込んだ。

この、前の所有者は藤沢作品も山本作品も読み込んでいて、その共通性にも思い当って
いたのだろうと思われた。

普段は、前所有者の残滓のような痕跡には抵抗を感じていたのだが、今日は、好ましい
ご同輩のような気がして、新聞記事は勿論、クシャクシャになった古いレシートも頂い
て置くことにした。



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よろしくお願い致します。

藤沢周平と山本周五郎に、共通の匂いを感じたら、世の中はとうの昔にそう言われて
いたようで、■佐高信・高橋敏夫『藤沢周平と山本周五郎』光文社知恵の森文庫 と
言う本も最近知った。
取り寄せてみたら、コチラは、無味無臭のマッサラ本。読むのはそのうち、だな。


今日は浮世離れしたようなコトを書いたように見えるかも知れないが、なかなかどうし
て。

昔は百貨店勤めをした身だが、当時はトップランナーだった伊勢丹などでも、内部で
は、小説やら詩集を読めと社員教育でハッパが掛かっていると聴いたものだ。

シンガーソングライターが<アーチスト>と言われ一目置かれるのも、彼らが時代の風
を的確に読む嗅覚を兼ね備えている、と解釈されているからだ。


昨夜観ていて驚いたのは、NHK/Eテレの『人生デザインU-29』(10月19
日放送)という番組の録画。その日のタイトルは<少女漫画で天下取る!?新人WEB
漫画家26歳>というもので、大学の理数系を経て大手IT企業に勤めた後、漫画家
一本に絞って独り立ちした女性だったのだが、大手漫画出版社に原稿を持ち込みその
場で見て貰っている場面。

一当たり原稿に目を通した編集部の女性幹部が言った。画力、ストーリー構成力につい
ての指摘の後、「メインの読者層はどこか?」「?????」

<20代後半から30代の女性。あるいは、中には40代にもかかっているかも知れない
ビジネスウーマン。まだ独身。夕食用の食品を買うため立ち寄ったコンビニで、件の
漫画を手に取る。><好みに厳しく妥協はしない。だから、作品の絵が好きかキライか、
完成度を厳しく要求する・・・・・。>等々。

自信満々の鼻持ちならない、尖がった新人漫画家は、完膚なきまでに打ちのめされた。

狙う層のライフスタイルが、具体的に見えているか?????


このことは、どんな職業にも通じることではあるのだが、人と人が交錯する時代小説の
中にも、優れて人間の機微が描かれていて、唸ることが多い。



新潟日報コラム『日報抄』(2015年10月21日付)

新潟県村上市にいた頃、ハクチョウが飛ぶのをみたがもうそんな季節か。
北国では冬支度らしいが、我が当地でも今日は小寒い。








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日本自然保護協会・自然観察指導員
浄化槽管理士
日本森林学会会員
福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
茨城県動物愛護推進員
上記もろもろ、兼 おっさん。
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