諸行無常のひびきあり・・・・・・・・・。

昨夜寝る前にある本を読んでいたら、ダイエー中内功が出て来た。
いやはや、あの天皇のようだった中内が、末路は凄まじい人生だった
のですね。


当方は大学を出ると、当時花形だった流通業に就職した。花形といって
も、一地方企業であったのだが、ローカルとは言え時代の熱は等しく
共有するものがあり、いわゆる「流通革命」の一翼を担っている矜持を
持って、汗を流したものであった。

一方その時、このダイエーは時代の雄として、脚光を一身に浴びている
まさに目眩を誘うほどに眩しい存在であった。



店舗予定地がある時に、ダイエーは実際使用面積の２倍の面積を確保し、

店舗開設後には、その残りを売却すると、売却益で元の店舗開発費の
元が取れたという。その中内錬金術に若い私らは瞠目させられたものだ。



やがて、自分らが管理職になる頃には、かつての眩いばかりの「栄光の
ダイエー」は面影すらなく、近くにあった既存店などは、中を巡回し
てみると、墓場のようでもあった。

アメーバのごとく新店舗を展開して行った中で、既存店への再投資戦略
がまるで無かったように感じられた。

天皇然とした中内イズムの経営が、ある種軍隊のごとく上意下達だけ
の一方通行のマネジメントにもなっていたのだろうか。


店舗というものは、建てたからそれまで・・・・ではなく、常に改善
改善の連続であり、そのダイナミズムが「店の活気」を生む。
店舗を取り回しているのは、人間であり、意見も通らない組織なら
沈滞のなかに沈んで行くだけだろう。



こんなことがあった。

あるダイエーの店舗で、既存店としては大分古くなり、前年確保も
ままならないぐらいに落ち込んでしまった店があった。
で、店長は地域協定で決まっていた休業日数に手をつけた。

休業でゼロの売上げが、営業すればそれなりの売上げ実績が転がり
込んで来る。

よそのことだから、ハッキリは判らないが、１０数日の休業日を
誤魔化して営業にしていたらしい。
目先では、営業数値は伸びる。


ところが、「天網恢恢疎にして漏らさず」世の中、誰が見てるか判ら
ないもの。市民の誰かがメモしていたらしいのだ。
で、この不正が露見してしまった。

店長は、風のうわさに福岡ダイエーホークス(当時)の球場での、弁当
の売り子に左遷された、そんな噂が立ったものだった。

ホントかウソか解からない。しかし、当時あそこの企業体質ならさも
ありなん・・・と、皆が合点したものだった。



さて、店舗開発錬金術に私ら羨望の眼差しを持って見上げたもので
あったが、先の件の本によると、ダイエーの最悪時の借金額はなんと
二兆六千億円という天文学的数字であったのだとか。

そしてその最後、中内氏が亡くなった時には、すでに西宮の大邸宅、
東京田園調布の家、なにもかにもすべて銀行にとられ、
病院の霊安室から、霊柩車でそのまま火葬場へ直行したのだそうだ。

いやはや、知りませんでしたが、まさに凄まじい人生というほか
ありません。自業自得とは言え言葉もありません。


噛み締める言葉は、諸行無常。


☆★☆昨夜読んだその本
　　■佐野眞一著『この国の品質』ビジネス社　2007年11月　第一刷
　アマゾンの書籍案内をリンクさせますので、ご興味の向きは
　ご覧下さい。私はまだ読み終わっておりませんが、アマゾンの
　一般読者の書評欄が大変参考になります。
　ま、好き好きでしょうけれど、久し振りに生唾がバンバン飛んで
　来るような「濃い」本に出会って、少し新鮮ですね。
　口当たりの言いプリンのような本が多い中、ツバを避けながら
　読む本もたまにはイイっす。
　そして、ガリリ・・・・、と骨にぶち当たりながら読むのもね。



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