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 この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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昨日のブログの続きみたいなことを書く。


昨日リンクした報道記事は通信社のものだから、細部までの
事実が判りにくかった。


今日引く新聞社の報道は、幾分そのディテールに踏み込んで
書かれていて、判り易い。

●歓送迎会から残業へ、途中の事故は「労災」 最高裁判決
(2016年7月8日19時19分 市川美亜子 朝日新聞)



読売も同様の記事を載せていて、記事結びで『1審・東京地裁
と2審・東京高裁は、「歓送迎会は私的な会合で、送迎も男性
が任意で行った」として、請求を棄却していた。』(2016年
7月9日付読売新聞)と報じているのだが、ネット版では無料で
読める部分はこの前までで、肝心のこの部分は読めないために
リンクは割愛した。

読売が書いた東京高裁の請求棄却理由を、上記リンクの朝日記事
では最高裁第2小法廷が<原判決は破棄を免れない>1審判決を
取り消したとして、その理由を明示して報じている。



事実をひとつひとつ検証していけば、常識的にそうなるはずなの
だが、労災認定の決定部署・行橋労働基準監督署長しかり、1審
の東京地方裁判所、2審の東京高等裁判所など何を考えていたん
だか?

早くも、最高裁のページには『平成26年(行ヒ)第494号 遺族
補償給付等不支給処分取消請求事件 平成28年7月8日 第二小
法廷判決』として、その判決文がアップされている。

●平成二六年(行ヒ)第494号 遺族補償給付等不支給処分取消請求
 事件 平成28年7月8日 第二小法廷判決(最高裁HP)



この判決文を読めば、会社の事情、交通事故死までの会社員の行動
が、かなり詳しく論じられている。

件の会社は従業員7人という小さな会社。死亡した男性は親会社か
らの出向で現業ではなく、営業企画等の業務をしていたと。
メッキ工場という小規模企業だから、ホワイトカラーは一人だった
かも知れない。
社長は親会社の事業企画部長を兼ねていたから本店にいることが多く
社長業務は生産部長が代行していた。

メッキ工場の現業だから、生産部長は現場上がりの職人系かも知れない。

この男性は、工場現地では唯一の本社生え抜きの社員。
社長のリモートコントロールの<現地拠点の眼>の役目もあったかもし
れない。


最高裁の判決文でも指摘があるように、いくら外の居酒屋での宴会とは
言え、会社内の親睦を深める意図で経費が会社持ちの歓送迎会は、やは
り、1審・2審のように「私的な会合」とは言わないだろう。一般的な
われわれの社会常識では。
たった7人の従業員プラス中国人研修生5人の小さな会合だから、ひと
りが欠けてもマズイという・・・。そういうプレッシャーはある。

しかも、現場上がり?の主催者の生産部長から、直々に念押しがあった。
残業はあるのだが、止む無く終了予定の30分前に会場に急行した。

残業の件は会場で総務部長にも伝えた。


残業を手伝うとも言ってくれていた生産部長は、主催者として盛り上げな
ければ・・・・と思う気持ちもあってか、結局飲みつぶれ、会場へは会社
の車で研修生たちを連れて来たのだが、帰りはムリ。

指示はなかったらしいが、唯一飲んでいなかった男性が、会場と会社の直線
距離からはそれほどは逸脱しない同方向の研修生たちのアパートへ送ること
になった。そして交通事故に遭い死亡。


当方なども本部事務棟でのホワイトカラー職の一方で、スーパー店舗9か所
でも職務経験があるため、この事案の雰囲気が理解出来る。

歓送迎会などの体験はそれこそ日常茶飯事。100に近いオーダーでして来
たが、組織に所属していたら「私的な会合」などでは決してないのだ。
MUSTの業務だ。


それから、たった7人程度の従業員数では、阿吽の呼吸で率先して<気が利か>
なければならない。ま、日本的風土といえばそうなのだが・・・。
生産部長が場を盛り上げるために酔ってみせれば、飲んでいない人が率先して
研修生の送りを考え、行動した・・・。

これは、日本人の仕事の仕方であり、「業務命令書」の紙切れなどなくても、
業務として動いた結果だ。

しかも、唯一の本社派遣のホワイトカラーとしては、会社の方針、関連会社同士
の関係性まで飲み込んだうえでの結果の行動、でもあったと思われる。



「歓送迎会は私的な会合、参加は本人の意思」「送迎は男性が任意で行った」と
の労働基準監督署の決定、東京地裁、東京高裁の判断はいかんともし難い。
現実世界を生きる、生身の人間のアタマから出て来た判断なのか理解に苦しむな。

一方で、最高裁の判決文は、目を細めてニンマリと読めた。

これでこそ、お裁きというものだと思ったな。



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ただこの裁判が6年も懸かったように、これで万事がそうなるとは限らない。

会社の行事で歓送迎会をしたというなら、言ってみれば「お客さん」の中国人
研修生の「帰り」ぐらい、経費でタクシーに乗せたって良かったのではないか
と思う。


それから「気が利く」だの「業務への責任感」というのも、<時と場合>だろ
うな・・・。
命と引き換えというのがそうそうあっても困る。

そんなことで、常々『リスク』というものを頭の片隅に置いての行動が必要だ。


ある建設会社で、工事終了につき現場においていたプレハブの詰め所を持ち帰
った。社長の運転で帰りトラックを停めた瞬間、助手席に座っていた作業員が
やおら車から降り、トラックの荷台にハシゴを付けると、さっさと登り始めた。

プレハブの詰め所を固定していたロープを外すためだ。

と。

ウッ!?と作業員がうめいたと思った瞬間、その人は地面に転げ落ちた。

脳血管障害による突然死。


その後、労働基準監督署係官による現場検証。
監督署まで出頭しての供述調べ。

社長曰く「頼んだわけでもないのに・・・・・。」現場では気が利くのも評価
されるが、イザとなったら頼んでもいないと言われる場合もある。


当方が若い頃で、スーパー店舗勤務の頃の話。

配送のトラックが着いて、特売予定の醤油が入荷した。

パートさんとそれを降ろそうとしたときのこと。

何かの不具合があって、醤油のケースを積んだカーゴ車がバランスを崩した。
1ケースに1Lの醤油ボトルが15本。ざっと言って15kgだ。

それがカーゴ車に5箱組みで5段ぐらいあったか。25箱だから計375㎏。

「あぶない!!」と思って当方はカーゴ車から手を離したのだが、一人の
パートさんが倒れ掛かるカーゴ車を左手一本で押さえようとしていた!

「離れろっ!!」

トラック後部からエレベーター式に下ろすものだから、明らかに頭上から覆
いかぶさってカート車が落ちて来て、下敷きになるのは目に見えている。


いくら責任感があるといって、咄嗟の危険への対応力が欠け過ぎている。
真面目は美徳だけれど、命を賭けることではない。


ま、そういうことでした・・・・・・。
(これ、ある勉強会での弁護士さんの口癖。使ってみました・・・。)
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上記もろもろ、兼 おっさん。
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