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 この仕事に人生を賭けてます! 伊能忠敬の「人生二山」が好きな言葉。 実り豊かな第二幕目の人生の歩みing型。 黒田真一が人生の旅人として日々の雑感を綴ります。
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●長崎の水産会社で社員1人死亡 ガス中毒か
(2013年5月30日(木)13時38分配信 日本経済新聞)

 ●死亡事故の佐世保・水産会社、工場長が自殺か
(2013年5月31日(金)11時18分配信 読売新聞)

 ●水産加工事故で現場検証 死因は硫化水素中毒か
(2013年5月31日(金)19時15分共同電 東京新聞)



パンダが妊娠すれば大きなニュースだが、こと人の生き死になど、殺人
事件など連日のことだし、交通事故など珍しくもないご時世だから、よって、
ご多分に漏れずこの労災死亡事故など、ニュースの取扱いは小さかった。
 
しかし、当事者の方々にとっては、一旦想定していなかったことが起こると、
人生の重大事態となる。


今度の水産加工会社の場合も、30日(木)朝にガス中毒事故が起こって
から、社内は右往左往。現場責任者の工場長は佐世保警察署で昼過ぎ
から夜10時頃まで事情を聴かれて、その後署員に送られて自宅に帰った
そうだ。当然フロや晩酌とは行かず、きっと会社の現場には、まだ部下の
誰かがいるハズ・・・・、と、また会社へ向かったのだろう。

  会社に戻ってみれば、案の定部下達がいて、一様に疲れ切った暗い顔
をして不安げに打ち合わせをしている。工場長が入って行くと、不安げな
中にも一瞬安堵の色が浮かぶ。
朝9時20分頃発生の事故というから、その日は事故にあった3人とは言葉
を交わしたかどうかは判らない。ただ、前日には顔を合わせ、言葉を交わ
した時間があったかも知れない。死亡した、あるいは意識不明の部下たち
の家族関係のことも知っていた密度の濃い社内関係だったかも知れない。
 

死亡した部下への補償の問題やら葬儀のことも話しにのぼっただろうか。
重い空気の中、とりあえずの直近の明日以降のことへの指示を与え、
「今日はもう疲れているから帰れ・・・・。」とか居残る部下に言葉を掛けて
帰宅させた・・・・。
シンと静まり返った社内に一人きりになった工場長は、我に返り、明日の
朝一番からのあれこれを考えたとき、瞬時に責任の重さの重大さに押し
潰されそうなる。 家族にも「別れも告げ」ぬまま、取り返しのつかぬ事態に
身悶えし、社内の灯りを落として、クタクタになりながら「自分を片づける」場
所を探しに、外へと向かったのだろうか・・・・。
 

(事故直後の今、さも見て来たように書いたことは不謹慎だと思うが、他者
のご不幸から何か教えられることはないか。手探りで考えている過程である
とお許しいただきたい。


2年前の東日本大震災発生の日、当方はあるコンビニ弁当製造の食品会社
と係わりを持っていて、発生のその日、正しくは翌日の午前2時頃だったか、
電気も水道も不通で、暖房も点かずにローソクの光の中で何とか夕食を済ませ
た後は、ラジオから流れる「まだ未確認ながら、津波の後に、数百の遺体が打
ち寄せられているとの情報です・・・・・」などという切れ切れの情報に耳を傾けて
仮眠も取らないまま、向かう道路はどうなっているのか?も知らないまま、工場
へと向かった。
いつもなら灯いている外灯もない、車1台さえ走っていない道路。耳が聴こえなくなった
のかと思うぐらい、あたり一面真っ暗で静かな夜だった。

茨城でも、それなりに被害はあって、件の食品工場は、普段の喧騒がウソの
ような静寂の中にあった。数人の男子社員は押し黙って座っていた。ボリューム
の大きなラジオだけがしゃべっていた。

そして、思ったとおり、工場長はいた・・・・。


運ぶスベのない、午後2時46分より前に製造された弁当類と、数人の人間のに
しては、エラク山盛りのタバコの灰皿が今も記憶の中にある。)

佐世保の水産会社の工場長のお気持ちが、間接ながら解かる気がするんですね。



さて、今日の本題だ。

企業の現場管理者は、忙しい。
売上高、営業利益、経常利益、予算管理、設備投資、資金繰り、労務管理、
取引先管理、競争戦略、製造管理・・・・・・、時には製造ラインのパートタイマー
と軽口を叩いてのヒヤカシだって業務のうちだ。

リスク管理では、防火・防災、盗難回避なども管理業務のうちだと思うが、いずれに
しても要は、「複眼思考」での重層的管理が求められるのだ。


だが、全てひとりでこなすことは無理な話で、部下に振り分けて会社としての
仕組みが貫徹出来ればよいのだ。重要なのは、自分の持ち場に「欠落点」は
ないか?をリスクマネジメントの視点で見通せる感受性を持てるかどうかなのだ。


今回の事件は、水産加工の現場で出る生魚原料の廃棄物の腐敗から、硫化水素
が発生したことによる痛ましい事故だった。

硫化水素中毒による労災事故は、厚生労働省のホームページ資料によると、
過去10年間の業種別では製造業が最も多く、次いで 建設業、清掃業の順となる。
酸素欠乏症による労災とともに、硫化水素中毒によるものも、かつては建設業が
群を抜いて多かったのだが、労働安全衛生思想の普及などにより改善されて
おり、産業廃棄物の多岐化などとあいまって、清掃業などのほか、予測外の業種
などでの事故が散見される。

製造ラインの事故防止は、物理的危害(落下、爆発、圧迫、感電、切断等)に注意
の大概が集中するが、化学とまで言わずとも中学校理科の知識レベルで考えて
も腐敗によるガスの発生は、容易に想像しなければならない。

特に、ゴミ(廃棄物)と考えてしまうと、どうしても考慮も疎かになり勝ちなのかも知
れない。


厚生労働省管轄の国家資格に「酸素欠乏危険作業主任者」というのがある。
第一種酸素欠乏作業(酸欠のみ)においての作業主任者として就業するための
酸素欠乏危険作業主任者技能講習と、第二種酸素欠乏作業(酸欠+硫化水素)
において作業主任者として就業するための酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
技能講習との2つがあり、この講習を受け考査に合格すれば資格取得者となれる。

黒田は、2004年以前に取得したため「第二種酸素欠乏危険作業主任者」の資格
者である。
『水に溶けやすい硫化水素は、外気に露出している人間の眼や呼吸器の粘膜
の水分に溶解する。・・・・(略)・・・・、(注:700ppm以上の場所では/黒田注)
瞬間的な呼吸麻痺による急性致死を招くことになる。』(講習時教本から)


恐ろしさを知らないか?知っているか?
この差は生死を分け、場合によっては社業を左右するのだ。

社内に知っているものを配置する必要を感じ、そう行動させるのは現場の企業管理者
にしか出来ない。


数年前、我が市内で酪農家の親子・硫化水素中毒死亡事故があった。

ことの顛末はこうだ。

牛の畜舎の廃棄物(糞やし尿の混じった排泄物)を、集約貯留しておく廃棄槽が
あった。
ある日、そこに子牛が落っこちた。酪農家に取って子牛は財産だから、後先考えず
息子が子牛を助けるため、その槽へ飛び降りた!

子牛が落ちた瞬間に子牛は倒れ、息子も即倒れた(絶命したのだろう)

父親は、まさか「絶命」なんていうコトが眼の前に起こるとは夢にも思わないから、
息子と子牛を助けるために、追っ掛けすぐ、廃棄槽に飛び降りた。

・・・・・・・・・・、瞬間、  絶命。

その農家は、大黒柱を失い、大事な後継者も瞬時に失ってしまった。


何が怖いかといって、『知らない』というこが、最も怖いことなのです。





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【今日の参考】
●厚生労働省HP「酸素欠乏症・硫化水素中毒による労働災害発生
  状況(平成23年)について」
●建設業労働災害防止協会編「酸素欠乏症等の防止」
  第一種及び第二種酸素欠乏危険作業主任者技能講習テキスト

















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福祉住環境コーディネーター
茨城県介護サービス情報公表制度・調査員
茨城県動物愛護推進員
上記もろもろ、兼 おっさん。
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